色彩検定UC級の公式テキストp.52に「日本におけるユニバーサルデザインの歴史」という項目があります。詳細な解説は省かれているので試験で重視される箇所ではないと思われますが、個人的に少し興味が沸いたのでそれぞれの項目について簡単に調べてみました。行政の関わり方が大雑把に理解できると思いますので参考までにどうぞ。

created by Rinker
¥2,484 (2019/01/22 18:13:36時点 Amazon調べ-詳細)

1985年 視覚障害者誘導用ブロック設置指針

1985年に建設省(現・国土交通省)が作成した道路における視覚障害者誘導用ブロックに関する指針。いわゆる点字ブロックの設置指針や材料、施工方法などが書かれています。色彩に関する記述は極めて簡略的で、「原則的に黄色」という指定しかありません。

第3章材料 3-2 色彩

視覚障害者誘導用ブロックの平板の歩行表面及び突起の表面の色彩は、原則として黄色とする。

あくまで指針なので具体性には欠け、より厳密な点字ブロックの運用に関しては後々の法整備やJIS制定(2001年「JIS T 9251」)を待つ必要がありそうです。

1986年 長寿社会対策大綱

1986年に閣議決定された国家の基本方針。長寿社会に対応するため、人生80年時代にふさわしい経済社会システムの構築を目的としています。直接的にユニバーサルデザインに言及しているわけではないけれど、日本の今後の方針を定めた点で重要。特に住宅・生活環境システムの項で安全性や利便性というバリアフリーの観点が盛り込まれています。

1987年 シルバーハウジング・プロジェクト制度

1987年に建設省(現・国土交通省)と厚生省(現・厚生労働省)が始めた制度。高齢者の安全性や利便性に配慮した住宅設備、および適切な福祉サービスの提供を目的とし、その推進と支援が目的。バリアフリー住宅の普及を後押ししたようです。

1989年 高齢者保健福祉推進10カ年戦略

1989年に厚生省(現・厚生労働省)、大蔵省(現・財務省)、自治省(現・総務省)の合意で策定された今後10年間における福祉事業拡充の目標。通称「ゴールドプラン

大規模な福祉事業の充実を目標に掲げたけれど予想以上に高齢化が進んだため、1994年に「新ゴールドプラン(高齢者保健福祉推進10か年戦略の見直しについて)」、1999年に「ゴールドプラン21(今後5か年間の高齢者保健福祉施策の方向)」が策定されている。

1991年 福祉の街づくりモデル事業

1991年に建設省(現・国土交通省)、厚生省(現・厚生労働省)が創設したモデル事業で、高齢者や障害者に配慮した街づくりの推進が目的。同年代は国家行政のみならず地方行政や市民、あるいは企業などからもバリアフリー化を推進する運動が進みました。ただ、国家としての法整備がまだ進んでおらず、各々の団体が推し進める似たような事業や条例がかなり散見されます。

1994年の「ハートビル法」、1995年の「高齢社会対策基本法」などの法整備がその後の方向性を明確に推し進め、同事業も1995年に「人にやさしいまちづくり事業」へと発展的な改正が行われました。

1993年 障害者対策に関する新長期計画

1993年に政府が策定した障害者対策を推進する基本方針。ノーマライゼーションという言葉が明確に記述されている。

1982年に国際連合が「障害者に関する世界行動計画」を採択し、1983~1992年までの10年間を「国連・障害者の10年」と宣言、この行動計画に基づき国内でも障害者対策本部の設置などの施策が行われました。そして10年が経過した1993年、新たな長期計画の提案を中央心身障害者対策協議会が内閣へ提出、その内容を踏まえて新たな長期計画が策定されたようです。

1994年 ハートビル法

ハートビル法」は1994年に制定された法律、正式名称「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」、ハートビルの由来は「ハートのあるビルをつくろう」から。

建築物のバリアフリー化を目的としており、学校や病院などの不特定多数の人が利用する建築物は政令で「特定建築物」と定められ、基準に適合する努力義務が課せられました。要はスロープや点字ブロックなどのバリアフリー設備の設置が事実上義務づけられたわけです。特定建築物と認定されることで助成金などの利便性も得られました。

なお現在は、2006年の「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)」の施行に伴い廃止されています。

1994年 生活福祉空間づくり大綱

1994年に建設省(現・国土交通省)が21世紀初頭の福祉インフラ整備のあり方について、理念や目標をまとめた文章。高齢者や障害者のみならず、子どもや女性をも含めたバリアフリーやノーマライゼーションの観点から、21世紀という新時代の日本に必要な福祉インフラについて言及しています。

1995年 障害者プラン

1995年に政府の障害者対策推進本部が策定したノーマライゼーション7か年戦略は、リハビリテーションとノーマライゼーションの理念を念頭に、1996~2002年の7年間の施策目標を具体的な数値を盛り込んで策定した文章。各省庁間を横断した内容なのも特徴的。

1995年 高齢社会対策基本法

1995年に制定された国の方針を定めた法律で、この基本法に基づいて国内における高齢社会対策は策定される。国の基盤となる重要なもの。その基本理念は下記の通り。

一 国民が生涯にわたって就業その他の多様な社会的活動に参加する機会が確保される公正で活力ある社会

二 国民が生涯にわたって社会を構成する重要な一員として尊重され、地域社会が自立と連帯の精神に立脚して形成される社会

三 国民が生涯にわたって健やかで充実した生活を営むことができる豊かな社会

これら基本理念の下、国や地方公共団体は必要な施策を実施する責務を負います。また、政府は高齢社会対策会議の設置や、毎年国会に高齢社会対策の報告書を提出することが義務づけられています。

直近の例であれば、5年を目処に見直しが進む「高齢社会対策大綱」が2018年2月16日に閣議決定されました。

1996年 生活福祉空間ガイドライン

1994年に建設省(現・国土交通省)が福祉インフラの基本方針となる「生活福祉空間づくり大綱」を策定、これに基づいて1996年に高齢者や障害者に配慮した施設等の整備や改善に関してまとめたものが「生活福祉空間ガイドライン」。

1999年 新エンゼルプラン

1994年からエンゼルプランと呼ばれる「子育て支援のための総合計画」が政府の政策の柱としてあり、その計画を1999年に見直したものが新エンゼルプラン。正式名称は「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画について」。

高齢者や障害者だけではなく、子育て世代の少子化対策にも重点が置かれ、少子高齢化社会の新たな福祉計画が具体的な数値と共にまとめています。

2000年 交通バリアフリー法

2000年に制定された公共交通機関へのバリアフリーを義務づけた法律。正式名称「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」。なお、2006年の「バリアフリー新法」の施行に伴い廃止されています。

これまでのバリアフリーは政府の指針やガイドライン、あるいは地方自治体の条例を通じて推進されてきましたが、交通バリアフリー法の制定によって法律で義務が課せられるようになりました。また、建築物だけではなく車両にも適用されているのが特徴的です。この法律以後、高齢者や障害者に配慮した設計指針、アクセシブルデザイン規格の制定が進むようになりました。

2001年 新しい高齢社会対策大綱

1995年に制定された高齢社会対策基本法に基づき閣議決定された新しい高齢社会対策大綱。旧来の画一的な高齢者像の見直しや男女共同参画の視点など、新たな国の基本方針が示されました。

大綱はおよそ5年ごとに見直しが進められており、その後は2012年と2018年に新しいものが制定されています。

2002年 道路の移動円滑化整備ガイドライン

2000年に制定されたバリアフリー法に基づき、ユニバーサルデザインに配慮した道路整備の基準を国土交通省が規定したガイドライン。道路の幅や段差、エレベーターや照明の設置などが具体的な数値と共にまとめられている。

その後も改訂を続け、2018年に最新版が策定されています。

2003年 バリアフリー化推進要項

2004年(色彩検定UC級テキストでは2003年、内閣府のWebサイトでは2004年)に策定された関係府省一体となってバリアフリーを推進するための要綱。ユニバーサルデザインに基づいた製品や都市、生活環境などのデザインを基本に、ハード・ソフトの両面から社会のバリアフリー化を推し進めることを目的に掲げています。

2006年 住生活基本法

2006年に制定された国の住宅政策の基本方針を定めた法律。良好で安全な居住環境の理念や施策の責務についてまとめられている。また、政府はこの法律に基づいた全国計画を定めなければなりません。最新版は2016年に閣議決定。

2006年 バリアフリー新法

建築物のバリアフリー化を目的とした1994年の「ハートビル法」、公共交通機関のバリアフリー化を目的とした2000年の「交通バリアフリー法」、この二つの法律を2006年に統合したものが「バリアフリー新法」、正式名称「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」。

この法整備によって、別個に行われていた建築物と公共交通機関のバリアフリー化が一体化されました。その後、2018年に一部改正されて内容の拡充が行われています。

2008年 バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進要綱

2004年の「バリアフリー化推進要項」の見直しを含め新たに2008年に策定されたのが「バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進要綱」。その内容は「バリアフリー新法」に基づいたものとなっている。

ハードとソフトの充実だけではなく、ハートの面で「心のバリアフリー」が盛り込まれ、国民の理解を深める重要性が盛り込まれました。また、高齢者・障害者配慮設計指針の国際規格化を目指す記述もあります。

2011年 高齢者の居住の安定確保に関する法律

2001年に制定された法律「高齢者の居住の安定確保に関する法律」が2011年に大幅改正、これにより「サービス付き高齢者向け住宅」の登録制度が創設された。

2017年 ユニバーサルデザイン2020行動計画

2020年東京五輪の開催を契機に2017年に策定されたのが「ユニバーサルデザイン2020行動計画」。国民一人ひとりの意識や理解を深める心のバリアフリー、そして誰もが快適に暮らせるための街づくりを目指すユニバーサルデザインの二本柱を基本理念とし、2020年までに達成すべき目標と具体的な行動計画がまとめられています。